介護用の手すりを自宅に取り入れるには?
家族に介護が必要になったとき、自宅に取り入れたいのが手すり。今回は、手すりの種類や選び方、介護保険の利用の仕方などをお伝えします。
手すりの目的
要介護の方が安心・安全に暮らすために、必要な手すり。これをつける目的は何なのでしょうか?
1. 歩行補助
身体が衰えてくると、歩行するだけで負担が。手すりを使うと負荷が軽減し、バランスが取れて歩きやすくなります。
2. 転倒・転落防止
高齢者の自宅での事故で多い、転倒・転落。手すりにつかまることで、身体を支え、転倒・転落を防ぎます。
3. 立ち上がり・起き上がりの補助
立つ・起きる動作は、意外に筋力を使うもの。トイレやベッドにつけると、1人でスムーズに動けます。
手すりの種類
手すりには用途に合わせて、種類がいくつかあります。
1. 据え置きタイプ
土台の板と手すりが一体化して、床に置いて使用。壁に手すりを設置できない場合や、ベッドやソファの近くに置いて、立ち上がり動作をサポート。必要に応じて移動させられるのが利点。
2. 突っ張り棒タイプ
天井と床を棒で固定するタイプ。身体を引っ張り上げる動作の補助に適している。場所を取らないのが利点。
3. 工事取り付けタイプ
工事で壁や柱に工具を打ち付けて設置。強度が安定するが、賃貸物件には不可。
また、手すりの形も何種類かあります。
手すりの種類
1. 水平型(横型)
地面や床に対して、水平に設置。廊下や玄関、トイレなどに設置し、つかまって手を滑らして移動をサポート。
2. I字型(縦型)
地面や床に対して、垂直に設置。トイレや玄関などに設置し、立ち座りなど身体の上下移動をサポート。
3. L字型
水平型とI字型を一体化したもの。トイレや浴室などに設置し、立ち座りの動作や姿勢保持をサポート。
手すり選びのポイント
介護用の手すりは、基本的に業者が状況に合わせて提案してくれますが、それでも知っておいた方が良いことを記します。
1. 介護者の身長
身長によって手すりの取り付ける位置が変わります。用途によりますが、地面から手すり上部までの高さが75~85cmが適切です。
2. 介護者の身体状況
身体状況によって手すりの設置場所や種類が異なります。普段の様子を観察し、必要な場所を見極めましょう。
3. 介護者の握りやすさ
公共の場所で設置されている手すりは直径3~4cmと比較的太目です。自宅では介護者がしっかり握れるサイズを選びましょう。目安は握ったときに、指先が触れる程度です。
手すりを取り付ける場所
手すりを取り付ける場所ごとの、注意点を記します。
1. 廊下 水平型
公共施設では地面から75cmの位置に設置されていることが多いですが、これでは少し低く感じるかもしれません。介護者の身長や身体状況に応じて、75~85cmの間で調整しましょう。
2. 階段 水平型
傾斜部分の高さが段鼻(だんばな:階段の踏み板の先端部分)から75cm前後が一般的。階段の始めと終わりは、廊下の手すりと同じ高さにします。階段と廊下の手すりをつなげると、つかみ損ねて転倒する危険性が軽減します。
3. トイレ
座る・立つという上下動作が多いので、I字型やL字型がおすすめ。手すりの縦部分が便座の先端から20~30cm前に設置すると、立ち上がりやすいです。手すりの水平部分は、便座から23~30cmの高さに取り付けます。
介護保険を利用して、手すりを取り付けるには
介護用の手すりの設置には、介護保険が適用できます。
要支援1・2または要介護1~5のいずれかに認定されていると、費用の1割負担(所得によっては2~3割負担)で、レンタルや取り付け工事ができます。例えば、工事費20万円のうち保険で18万円給付されるので、実費負担は2万円(支給額の上限は18万円)。
まずは、ケアマネージャーに相談を(いない場合は、地域包括センターへ)。
不安に感じたら、必ずケアマネージャーなどに相談を。決して1人で抱え込まないでださい。自宅に手すりを付けて、安心・安全な生活を送ってください。