[富山県・築32年の中古住宅]ホームインスペクション実例集

富山市の中古住宅でホームインスペクション(住宅診断)を行いました。築32年の木造住宅のホームインスペクションです。

まずは基本情報から。屋根の形状は、寄棟瓦葺き、外壁はモルタル壁です。

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物件の概要

築年数/種類 築32年の木造住宅
屋根 寄棟形状
外壁 モルタル壁にリシン吹付塗装

今回の物件は、水道、ガス共開通していないので、設備類は、診断から除外しています。

1.基礎調査

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コンクリートブロック造の擁壁基礎ですが、白華現象を起こしています。白華とは、コンクリート、タイルなどの表面に発生する白い生成物のことです。一般的には構造的に影響はないと考えられていますが、コンクリート内部に水が侵入することが原因として考えられており、基礎内に水の侵入を防ぐ対策をするのがベストです。

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基礎の換気口周りにひび割れが見つかりました。0.6mmあり補修が必要となります。

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先ほどのひび割れ箇所を床下内部から撮影した画像です。内部まで貫通しており、エポキシ樹脂等の接着剤を使って補強が必要な例です。

2.排水配管調査

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下水の配管をめくり、詰まり等の確認を行いました。鉄製の枡ふたを使用しており、このタイプは木の根っこが侵入する場合が多くあり、定期的な点検が欠かせません。

3.玄関ポーチ回り調査

cofポーチタイルの蹴上部分がめくれております。また、住宅側には怪しい黒いシミが発生しております。

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近くで見るとより酷さが分かります。この原因は・・・何か?

cof 玄関ポーチ屋根からの伝い水が原因でした。なぜ伝い水が発生するかというと、当時の工法では、軒先唐草部分が外壁と密着しており、伝い水対策がされておりません。外壁との取り合いに捨て水切りを設置し、外に排出できるような対策が望ましいです。

4.外壁調査

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外壁モルタル目地部にひび割れが見受けられます。元々目地部は、経年変化、地震などで外壁の落下を防ぐために設けており、ひびが入ることを想定しております。ただ、ひび割れをそのままにすると、雨水が侵入し雨漏りにつながるケースもあるので、早期にコーキング補修を実施することをおすすめします。

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一年近く居住者がいないために、外壁につたが発生しています。広範囲に広がらない内に撤去を行ってください。

5.雨樋調査

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雨樋の上合付近に枯草が見えております。雨水がオーバーフローした跡も見えます。おそらく雨樋に鳥が巣を作っている可能性があります。雨水を計画的に排水するためにも定期的なチェックと清掃を行ってください。

6.室内調査

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和室天井部より雨漏りが発生しております。雨漏りの原因の多くは、屋根または外壁からです、原因を突き止めた上で、補修を実施しましょう。

7.屋根調査

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下屋根の棟瓦土台部分が崩れております。元々、土と漆喰にて押えていたのでしょう。長年の風雨によって崩れております。

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2階の谷部分の崩れた、土と漆喰が転がっています。1階と同様に棟瓦が雨漏りの原因となっている可能性があり、補修が必要です。谷の板金は、鋼板で作られており、ここからの雨漏りはなさそうです。

8.天井裏調査

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天井裏を確認すると、壁・天井にグラスウール(断熱材)が敷き詰められています。また、小屋梁部分には、羽子板ボルト(金物)もしっかり固定されております。ただ、雨漏りは目視で確認できません。

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違う角度も確認しましたが、雨漏りは確認できません。

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反対側にも谷部分があり、少し黒ずんでいるように見えます。ただ、和室の天井は目透し天井でできており、容易に小屋裏部分から侵入することができません。構造的には、新耐震基準以降に建てられた住宅であり、躯体は頑丈に作られております。

最後に

今回インスペクションを行った物件では、基礎のひび割れ、外壁目地のひび割れ、屋根伝い水、雨漏りなどが確認できました。ホームインスペクション(住宅診断)は、目視での検査かつ非破壊検査が一般的です。今回雨漏りの部位は、侵入箇所が特定できませんでした(おそらく棟瓦、谷板金部分)。この場合は、天井材をめくり確認する、破壊検査が必要です。病院でいえば、人間ドックの検査と同様です。異常が見つかれば、詳しい検査を実施するのと同じで、住宅でも破壊検査などの精密検査が必要となる場合もあります。