建築士が教える断熱リフォームの基本【第四回】断熱リフォームの工法と断熱材の種類編

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第四回目は「断熱リフォームの工法と断熱材の種類編」です。

外断熱工法と内断熱工法の特徴

家の断熱をする場合、主に外断熱工法と内断熱工法と呼ばれる2つの断熱方法があります。断熱方法の選び方は、建物構造の種類(RC造、鉄骨造、木造)で決めると良いでしょう。RC造、鉄骨造などは、熱橋(柱回りから熱が伝わる)が起こりやすく、外断熱工法で断熱すると良いでしょう。また、木造住宅ではコストパフォーマンスに優れた内断熱工法で断熱すると良いでしょう。

外断熱工法

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画像:旭化成建材株式会社

外断熱工法は、家全体を覆うように断熱材を入れる工法になります。この工法は、主にコンクリート住宅で採用されています。断熱材には押出ポリエチレンフォームを使用し、躯体に張り付けていきます。

外断熱工法を採用するメリットとデメリット:

外断熱は家を隙間なく断熱材を覆うため、内断熱工法より断熱性が高いと言われています。デメリットとしては、手間が多くかかるため、工事費用が高くつきます。

内断熱工法

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画像:旭化成建材株式会社

内断熱工法は、部屋ごとに天井・壁・床などに断熱材を入れる工法になります。この工法は、木造住宅の9割が採用していると言われております。断熱材には、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材を天井や、壁に入れ、床には発泡プラスチック系の押出ポリエチレンフォームを敷き詰めることが多いです。

内断熱工法を採用するメリットとデメリット:

内断熱工法に使用する材料費は安く、費用対効果が高いと言われております。デメリットしては、内壁側に防湿シートなどでしっかりと遮断しないと、室内の湿気が断熱材に伝わり、断熱材の性能が落ちることがあります。

色々な断熱材の種類

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画像:旭化成建材株式会社

住まいに断熱材を使用することによって、外からの寒さや、暑さを遮断し、室内の熱を逃がしにくくします。ただし、断熱材は種類によってそれぞれ特徴があり、間違った使い方をすると効果を最大限に発揮できないこともあります。使用用途をよく考えて採用することが大切です。

費用対効果の高い断熱材

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繊維系の代表格であるグラスウール、ロックウールなどは材料費が安く、施工性も良く、内断熱工法(充填断熱工法)で多く採用されています。木造住宅で断熱リフォームをする場合は、費用対効果の高いグラスウールがおすすめです。

新聞紙が断熱材!?

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画像:株式会社デコス

古新聞紙をリサイクルして作られた断熱材があります。セルロースファイバーと言いますが、こちらも繊維系断熱材に分類されます。和室の畳下に、新聞紙を敷いて湿気対策をすることがありますが、このセルロースファイバーも調湿効果があり、自然素材として注目を集めています。

隙間なく吹き付ける断熱材

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画像:株式会社日本アクア

近年、新築、リフォームでも増えてきている吹付断熱材(発泡系ウレタン)は、隙間なく断熱できるため人気が高まっています。外周面に面材(構造用合板)を張り、内側に断熱材を吹き付ける工法のため、新築住宅向きの材料です。

断熱性能が高い断熱材

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また近年では、発泡プラスチックなどの硬質系断熱が普及しています。フェノールフォームなどは厚みが薄い割に、高性能という特徴があり、外断熱工法や、内断熱工法としても採用され始めています。

次回は、「お風呂・洗面室リフォームと断熱対策編」になります。お楽しみにしてください。

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